ムスメが5歳の時に発達障がいの診断を受けた過保護ママの、はな(lhanacotonoha)です。
先日、「発達障がいの疑いがあるので、専門医に受診された方がいいのでは」と勧められているものの、お子様の診断を受けるべきか悩んでいるママにお会いする機会がありました。
診断が出ることの不安、現在のお子様の様子にとても苦しんでいらっしゃるご様子に、少し前の私自身とムスメの姿が重なって、とても胸が痛くなりました。
今回は、実際に発達障がいの診断を受けたわが家の体験をもとに、発達障がいの診断を受けること、そして診断を受けたことによるメリットを少しだけお話したいと思います。
もし、いま発達障がいの診断を受けるべきか悩んでいるママ達に、「大丈夫だよ」のメッセージが届けばうれしく思います。
ただし、けして診断を受けることをおすすめしている訳ではなく、専門医療機関での診断を受けるべきかを決めるのは、あくまで保護者の方の判断になります。
「発達障害の診断を受ける」ということは、ある意味とても繊細なお話ですので、保護者ご自身、またご家庭でよくお話合いになって、診察や診断を受けるようにしましょう。
また、自治体や地域によって異なる部分もあるので、必ずお住いの自治体や医療機関にご確認下さいね。
Contents
まず知っておくこと|発達障がいの原因はあるの?
現在のところ、発達障がいは先天的な脳の機能障害であることがはっきりしていますが、いまだもって医学的に完全な解明はされていません。
”研究途上にある”といった方が、正しいのではないでしょうか?
そのため、発達障害がフォーカスされるようになったものの、まだ決定的な治療法がないんですね。
でも、現段階では、なんらかの脳の機能障害を引きを起こすメカニズムのひとつとして、遺伝的要素が原因の一部ではないかとも推測されています。
先天的な要素に遺伝的な要因、さらにさまざまな環境要因が重なってしまうことで、相互の要因が影響を及ぼして、発達障がいとしての特性が表れるのではないかとも言われています。
ただ、遺伝的要因については、あくまで一要因に過ぎず、単純に親から子どもに遺伝して発達障がいが起きるわけではないことが明らかにされています。
このように、発達障がいの原因は、まだまだ解明されていないことがたくさんあるんです。
発達障がいは誰のせいでもありません!|ママが責任を感じる必要はないんです!
「まさか、うちの子が…発達障がい??」と思うママ達の中には、発達障がいが先天的・遺伝的、さらに環境的な要因も一部関係していると聞くと、
「妊娠中の過ごし方が悪かったんじゃないかしら。私のせいかもしれない」
「私の育て方が、間違っていたのかしら」
と、ママ自身を責めてしまうこともあります。
さらに、発達障がいに関して正しい知識を持たない周囲の人から、過去の事、子育てについてあれこれ言われることもあるかもしれません。
でも、ママが、責任を感じる必要も、そこで立ち止まってしまう必要もありません!
なぜなら、発達障がいは、ママや家庭での育て方が間違ってたわけではなく、さらには、しつけ不足や愛情不足などが直接の原因ではないことがはっきりとわかっているからです。
子どもが発達障害であることに、ママに責任はないのです。
ママが責任を感じてそのまま立ち止まってしまうと、感性豊かな子どもはすぐに感じ取ってしまいます。
発達障がいに向き合う前に、まずは「自分を責める」必要はないということを知っておくだけで、次のステップへ進みやすくなるはずです。
私も、診断をして下さった主治医の先生をはじめ、さまざまなサポートして下さる方に、これまで「(ムスメちゃんの発達障がいは、)お母さんのせいじゃないですからね」と何度も言っていただきました。
遺伝的要因でどこか思い当たることはありましたが、やはり心のどこかで自分を責めていたのでしょうか。
その一言で心が救われただけでなく、ありのままのムスメに向き合うことができるステップに進むことができました。
子どもに「障がい者のレッテル」?|それって、ママ自身の受け止め方次第じゃない?
たまに、「(発達障がい)の診断を受けると、なんだか子どもに「障害者のレッテル」をはるようで嫌なんです」というママにも出会います。
時には、発達障がいに関して正しい知識を持つ関係者の方から、「発達障がいの疑いが、あるかもしれない」のようなニュアンスの話やアドバイスを聞くだけで憤慨する方もいらっしゃるそうです。
最近では、子どもだけでなく、大人の発達障がいも注目されているので、さまざまな情報が入り乱れているような気がします。
そのため、「発達障がい? なんとなく聞いたことがある」という方にとっては、発達障がいの良いイメージ、またあまり良くないイメージそれぞれあると思います。
特に、学校生活では、集団行動から浮いてしまったり、その場の空気が読めなかったりすることも多いので、もしかしたら、後者の「発達障害の特性にフォーカスした特異なイメージ」のほうが強いのかもしれません。
でも、ありのままの子どもにちゃんと向き合えてるなら、受け入れられているなら、発達障がいの診断を受けようとも、子どもの存在自体が変化するわけではありません。
そもそも「障害者のレッテル」なんてものはなくて、どこか自分と一線を引いた存在として勝手に思い込まれているだけ。
むしろ、「レッテル」なんてものを気にしているのは、本人ではなく周りの人のほうなのではないかしらと、私は思っています。
なかには、「診断を受けなければ、障害者というレッテルがつくこともない」と診断を受けることを頑なに拒むママもいらっしゃるかもしれません。
でも、その子自身が診断を受けたとたんに「障がい児」に変身するわけでもなければ、子どもの将来がいきなり狭まるわけでもないんですよね。
診断を受ける意味とは、「いまよりももう少し生活しやすくなるように、こんな支援(サポート)が必要ですよ」という捉え方でよいのではと思います。
たとえば、視力が下がれば、専門医による検査や診断を受けて、眼鏡をかけることで、視力をサポートしますよね?
それに、耳が聞こえにくくなれば、専門医の検査や診断を受けて補聴器をつけます。
もっと言えば、虫歯になれば、歯医者さんを受診し、歯にセラミックをかぶせるなど虫歯で欠けた部分をサポートしたりしますよね。
発達障がいの診断も同じで、「どんな支援(サポート)が必要かを見極めるため」のもの。
最終的には、ママ自身が、発達障がいの正しい情報と知識を得たうえで、どのように「発達障がい」の診断を受けとめるのか次第なのではないでしょうか?
わが家の場合は、それまでのムスメの子育てを通して「言葉ではうまく言えないけど、感覚的になんだか違和感を感じる」成長や発達具合に、いつも疑問を持って悶々としていました。
でも、診断を受けることによって、そのモヤモヤ感を「あぁ、そういうことだったのか」とスッキリ晴らすことができました。
それまでの「周りと合わせる」ことに重点を置いていたムスメの子育てを、公的サポートや支援を受けながら「周りと違っていいじゃない。ムスメはムスメだもの!」の子育てに大きく方向転換することができましたよ。
もちろん、いまも紆余曲折はありますけれど。
診断を受けたことによるメリット|自治体の福祉サービスが受けれるようになります!
発達障がいの診断を受けると、場合によっては、福祉サービスなどが受けることができる各種手帳を取得することができます。
もちろん、手帳等の申請取得は、必須ではなく、あくまで”任意”になります。
診断は受けているものの、障がい者手帳を取得していない方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
でも、手帳があると、公立の小・中学校に設置されている特別支援学級を希望することもできますし、通級指導も受けることもよりスムーズに可能になります。
また、発達障がいの子どもにとって、療育はとても大切なプログラム。
子どもの特性に合った療育施設や指導員の先生にめぐり会えれば、適切な指導によってのびやかな発達や成長につながりますし、時には眠っていた才能が開花することもあります。
また、早い段階から適切な療育やサポートを受けることで、不安やうつ、自己肯定感が低いなどの二次障害を防ぐこともできるそうですよ。
わが家では、診断を受けた5歳の時点で手帳を取得、現在も更新しています。
主治医の先生、カウンセラーの先生のサポートはもちろんですが、手帳を取得することで、地元自治体の福祉をスムーズに申請することができ、療育や各種サポートを受けることができます。
ムスメにとっては、いまも変わらず、お気に入りの療育施設は、唯一ホッとできる場所となっています。
また診断を受けたことで、一時期は特別支援学級に在籍していましたが、現在は普通学級で過ごせるようになっていますよ。
わが家の実体験では、診断を受けたメリットはとても多く、本当に良い意味でムスメの成長に大きく影響していると思います。
診断を受けたデメリットは、まったく思い付きません。
診察予約は○ヶ月待ちも!|発達障がいを診断できる専門医は限られています
近年、発達障がいが大きくフォーカスされたことによって、広汎性発達障害(PDD)、注意欠陥多動障害(ADHD)、学習障害(LD)などの発達障がいの診断を受けるお子様が増えてきました。
その分、発達障がいの診断や相談を行っている専門両機関の小児科の受診は、診察予約が一段と取りにくくなってきています。
ほとんどの専門医療機関で初回診察は数ヶ月待ちとなっていて、なかには数年待ちの専門医療機関もあります。
実は、発達障害を診断できる専門医師が限られているため、小児科ならどこでも診断ができるというわけではないのです。
「発達障がいかも??」と専門医の受診を勧められても、実際に初診を受けるまでには平均数ヶ月間の待ち期間があるので、「本当に診断を受けるべきかしら」と悩んでいるママでも心の準備も十分にできるかと思いますよ。
ちなみに、わが家の場合も、専門医療機関で診察を受けるまでに約3ヶ月待ちでした。
診断を受けずに困っているのは、子ども自身|診断は子どもの未来を豊かにするためのスタート地点です
発達障がいの子どもが、学校での集団行動に浮いてしまったり、その場の空気が読めなかったり、教室を歩き回ってしまったりする問題行動を起こすことで、教師から注意をされたり、学校内で奇異の目で見られてしまう機会が圧倒的に多くなってしまいます。
すると、だんだん自己肯定感が低くなってしまい、不安や緊張から、引きこもりや登校拒否、うつなどのいわゆる「二次障害」といわれる状態へと、発達障がいで困る内容が変わってきます。
ママ自身も、学校や他のママ友から心ないことを言われることもあります。
もし診断を受けていなければ、ママも「発達障がいゆえの行動」と確たる根拠がない状況に悩みを深くしてしまうかもしれません。
なにより、一番困っている子どもを守ってあげることはできません。
そうなんです。
一番困っているのは、子ども自身。
「どうして、いつもボクだけ怒られるの?」
「どうして、他の子が簡単にできることが、私にはできないの?」
子ども自身は、大人が思っている以上に、毎日自分への「どうして?」を抱えて過ごしています。
そんな自身への疑問や困っている子どもにとって、発達障がいの正しい診断は、自分に自信を持ち、未来をより豊かに歩んでいけるようになるための、とても大切なスタート地点だと思います。
いま「診断を受けるべきか悩んでいる」ママ達へ。
発達障がいの診断を受けたからといって、、子ども自身、そしてママ自身が、「障がい児」「障がい児のママ」にいきなり変わるわけではありません。
時間をかけながら、これまでの視点を変えつつ、わが子にあった子育て方法へと変えていけばいいだけのことです。
子どもは、大好きなママに、褒められ、認められ、自信を感じて、初めて揺るぎない自己肯定感を構築していきます。
そうすると、発達障がいの子どもは、周囲が驚くような才能を開花させることも少なくありません。
診断は、あくまでスタート地点。
そう思えば、「診断を受けること」への受け止め方も変わってくるのではないでしょうか?
追記:13歳になったムスメが『早期診断をどう感じていたのか』を語りました
中学生になったムスメが、発達障がい当事者として『診断を受けていてよかった』という手記を書きました。
近年は保護者の方による幼児期の診断経験談はネット上でもよく紹介されていますが、中学生に成長した発達障がい児本人の声はあまり紹介されていないので、とても貴重な意見です。
診断を受けること、また本人に告知することに賛否はありますが、わが家のケースでは、「発達障がいの診断を早い段階で受けたこと、そしてムスメにもためらわずすぐに告知したこと」はムスメの成長する過程で大きなメリットになったと思います。
ムスメの声も、ぜひ参考にしてみてくださいね。
<画像提供元: pixabay>